2000年以上も前から中国で行われていた治療法で、日本には、飛鳥時代に朝鮮半島を経て中国より渡来し、平安時代には鍼灸医師になるための法律も定められました。湯液(漢方薬)や推拿(按摩)、導引(気功)などと同じように、中国伝統医学のうちの1つです
が、日本では江戸時代にオリジナルな発展を遂げました。しかし、使用する鍼や、刺激の強さなどに違いこそあれ、ツボや経絡に対して刺激を行い、気の調整を行うという点では同じです。
現在、日本では、はり師・きゅう師国家試験により、東洋医学的診断法に基づいた「医療類似行為」として、鍼灸を行うことが認められています。


材質:消毒に適したステンレスが主流ですが、金・銀などの材質のものあります。感染症対策として、薬品による消毒はもちろんのこと、ディスポーザブル鍼(使い捨て鍼)の使用、高圧蒸気滅菌器による滅菌法が行われています。
種類:一般的には、毫鍼(ごうしん)と呼ばれるタイプの鍼が使われています。治療院によっても異なりますが、直径0.14mmから0.3mm、長さ40mmから60mmがよく使われていまが、もっと太いものや、長いものもあります。他にも、長さ1mm程度でテープで固定する皮内鍼や、円皮鍼、こすったり押したりするだけの刺さないタイプの鍼もあります。


もぐさを皮膚上で直接、または間接的に燃やす治療法です。最近では、ひとりで手軽にできる台座のついたものや、煙の少ないもの、ラベンダーなど香りの良いもの、火を使わないタイプのものなども市販されています。また、もぐさを棒状にしたもので患部を温める棒灸、鍼と組み合わせた灸頭鍼などもあります
古くから中国には、天(自然界=大宇宙)があり、人(小宇宙)もまたその一部である
から、天地自然の法則にのっとっていれば、健康で天寿を全うできるとする天人合一思想がありました。その中で、自然や人を構成する物質的基礎として気の存在が考えられました。気は、陰陽・五行に分化され、機能を持ち、自然界のすべての事象や人の心も、気の作用の結果として説明されます。それゆえ、最も大事なことは、未病治、すなわち、普段から病気にならないように気をつけることであるとして、養生・健康管理に重点が置かれるようになりました。

陰陽…陰陽は、対立する属性ですが、固定したものではなく、また、相手があってこそ自らの性質が生きてくるものであり、相互に変転し、互いに依存し補い合って、全体としての統合が得られると考えられています。東洋医学は、基本的にこの陰陽のバランスをとることを目的に治療方針を組み立てていきます。

五行…自然を構成する要素を、木・火・土・金・水の5つ(五行)に分けたもので、一定の関係性と秩序を持っています。人の臓腑も、それぞれこの五行に割り当てられます。未病治…病気は気の変調により起こると考えられています。病にはいろいろな段階がありますが、このような気の変調を、初期のうちに、あるいは、起こさないように、普段から気の調整(健康管理)をすることが、とりもなおさず、病を治すことであると考えます。

→五行とは

未病治…病気は気の変調により起こると考えられています。病にはいろいろな段階がありますが、このような気の変調を、初期のうちに、あるいは、起こさないように、普段から気の調整(健康管理)をすることが、とりもなおさず、病を治すことであると考えます。
それぞれの原因は、対応する臓器に影響を与えます。
  1. 外因 … 自然気象が体の適応を超えて作用するもので、外邪ともいいます。風邪、 暑(熱)邪、湿邪、燥邪、火邪、寒邪の六淫があります。
  2. 内因 … 感情が過不足になったもので、怒・喜(笑)・思・憂・悲・恐・驚 の七情 があります。
  3. 不内外因 … 外因・内因以外のもの。飲食、特定の動作のやり過ぎ、セックスなど。
五 臓 外 因 内 因
風邪
暑(熱・火) 邪 喜(笑)
温邪
燥邪 憂(悲)
寒邪 恐(驚)
経絡とは
気血の巡るルートで、体の調子がここに現れるので、病気の診断・治療の両方に使われます。経脈・絡脈の2種類から成り、さらに経脈は、正経(十二経脈)・奇経(八脈)・十二経別の3種類に分かれます。絡脈は、経脈から枝分かれしています。
気は、正経のルートを一定の順序と向きに従って絶えず流れています。奇経は、正経の流れを調節するバイパスのような働きをしています。

ツボとは
気の出入りするところで、体に異常があるときの反応点であり、鍼灸を行うポイントと
なります。それぞれのツボは、固有の臨床的作用を持っていて、治療ではこれらを組み合
わせて使います。
  1. 経穴(正穴)…正経と、奇経の督脈・任脈の14経だけに存在し、名称と位置が定まっているもので、WHOの規定では361穴。所属する経脈の作用やそれと関係している臓腑の働きの治療に効果あり。
  2. 奇穴 ………… 経脈と関係無く存在するが、名称と位置が定まっているもの。特定の効果を持つ。
  3. あぜ穴 ……… 名前はなく位置も定まっておらず、その時々に圧痛などの反応として現れる。
→つぼを持つ14経脈
鍼灸は気の理論で成り立っていますが、科学的な説明もつくようになってきました。人の体には、内部環境を一定に保つために、複雑なフィードバック機構が働いており、鍼灸による刺激はこの機構がうまく働くように作用します。また、内臓からの病的情報は、神経路を介して皮膚や筋肉に痛みやコリとして反映され、これがツボとして認識されます。
ツボ刺激は、この神経路を逆に伝わり、もとの内臓へ影響を及ぼします。
現在まで、抗炎症作用、坑ヒスタミン作用、坑アセチルコリン作用、血圧低下、白血球数増加、尿中17‐OHコルチコイド減少によるストレス緩和、消化吸収促進、鎮痛などの効果が見られることが科学的に解明されています。
→簡単にできる家庭でのヘルスケア